優れた経営者と店舗マネジメント
「優れた料理人は、必ずしも優れた経営者ではない」という、ある方の言葉があります。
お客様を満足させる料理を作り出す素晴らしい料理人であっても、スタッフ管理やオペレーション、お客さまに対するサービス、給与や会計など経営全般において、必ずしも優れた経営者として力を発揮できるわけではありません。
店舗経営においては、スタッフが働きやすい環境づくりを行うこと、日々充分なコミュニケーションを図ってスタッフ一丸となってよりよいお店創りを進めていくことが大切です。
また、オープン前後はお店創りに多額のお金がかかるものですので、できることはオーナーご自身でまかなって出費を節約しようとしがちですが、経営においては全てを自力でやることが必ずしも正しい選択ではありません。
お店のオープニング・キャンペーンは、これから始まる1年の中で最も多くのお客さまの来店が期待できるタイミングです。そのタイミングで充分なクオリティの料理やサービスが提供できなければ、大切なスタートダッシュでリピーターの獲得だけでなく、クチコミによる集客も見込めなくなってしまいます。
さらに、チラシ広告やキャンペーン告知などをご自分で作成する場合、とかくお店が伝えたいことだけを載せてしまいがちで、お客さまに伝わらないチープなイメージを与えかねません。これでは初期の集客にも充分な効果を見込むことはできません。
とりわけオープン当初の集客は、お客さまが「このお店に行ってみたい！」「またこのお店に行って食事（買い物）がしたい！！」と思わせるようなイメージ作りを、広告・販促活動をはじめ、充分なクオリティの料理、おもてなしのサービス全般においてしなければなりません。
「店舗経営と経理・給与事務」の項目でもお話しましたが、お客さまの来店を実現してお金を生む(売上を上げる)ための業務ではない作業、例えばパソコンでのチラシ制作や給与計算・経理などに対して頭を悩ませながら長い時間をかけることは、経営的な観点から見ても正しい選択とはいえません。
経営者はお店に係る全てを把握していなければなりませんが、自分でやると非効率的になるものについては外部の業者をうまく使い、その過程をコントロールして、よりよい結果を追求することこそが経営であり、優秀な経営者の進むべき道なのです。
「優れた経営」とは、経営全体の効率化を考えて店舗マネジメントができることをいうのであって、苦手な分野を克服することやムダな労力・時間を使うことではありません。
